■不動産購入後はリタイア後の「お金」について検討する?!
健康で活動的なシニア世代の姿を見て、自らのセカンドライフに思いをはせる人もいると思います。気になるのは退職後に想定される出費となり、充実した生活を送るためにも、現役の40〜50代から資金計画を意識しておくことをお勧めします。
リタイア後のセカンドライフを考えるにしても、経済的に安定したプランづくりが重要になります。支出や収入はどれくらい見込めるのか、資産をどういうペースで取り崩していくことになるのかをシミュレーションしておくことをお勧めします。
お金の出入りをおおよそ把握できれば、早くから対策を検討でき、現役世代のうちに知っておけばその備えが出来る為、選択肢が広がります。
セカンドライフでの支出をまず考えてみて、現役のころと同じように食費や光熱水費などは継続して発生します。総務省の家計調査年報をみると、2023年にはともに65歳以上の夫婦(無職世帯)の毎月の平均の消費支出は25万円ほどとなります。
住居費や食費、交通・通信費、娯楽費などさまざまな支出を含む額で、年間でみると約300万円になります。
単身であれば、毎月の消費支出は14万5000円ほど、年間で約175万円となります。
■毎年約175万円~約300万円+αは掛かる!リタイア後の「お金」!
一方、いつもではないが、大きな出費が新たに必要になるケースもあります。
最初に思い浮かぶのが「介護費用」となり、生命保険文化センターの調査によると、住宅のリフォームや介護ベッドの購入といった一時的な費用が平均74万円、毎月かかる費用が平均8万3000円となっているそうです。
介護期間は平均で5年1カ月となっており、期間中に必要な費用を試算してみると、1人あたり約580万円となります。夫婦2人分だとすれば、1000万円以上になる計算となっています。
家計調査ではともに65歳以上の夫婦の医療費の自己負担平均は月に約1万7000円(年換算すると約20万円)となっています。医療・介護の費用負担を考えると、健康を保つための定期的な運動や健康診断の受診を心がけていく必要があります。
一軒家やマンションなどを購入して暮らしている場合、住環境を保つための「リフォーム費用」も意識しておく必要があります。年月が経過すれば住まいも劣化していくのは当然のこととなり、設備の更新や修繕はもちろん、年齢を重ねても快適に過ごせるように自宅のバリアフリー化、防災防犯対策を施す必要もあります。
リタイア後に時間ができるので「旅行費用」をかけたい人もいると思います。現役時代にできなかった分、ゆっくりとリタイア後に旅行を楽しみたいと思われる方は多く、そのニーズは大きいようです。
一方で海外や遠方への長期の旅となれば費用は掛かりますし、望む旅のスタイルや予算に基づいて計画を立て、具体的な支出の見積もりもしておきたいものです。
■「お金」を増やす事につながるリタイア後の各種の見直し
こうした追加の支出はどうしても出てくる一方、セカンドライフだからこそ見直せる支出もあります。例えば「生命保険料」です。子どもが独立するなどして、いざというときに備えて必要な保障額が減少している場合が多いです。生命保険の見直しや解約で保険料負担を減らせるかもしれません。
子どもが就職するタイミングとなれば、大学などの教育費用もなくなります。住宅ローンの支払いを終えている人もいると思います。しかし、住宅購入時に自分の予算以上の不動産を買ってしまうと、この期間が老後の支出に影響が出来てきます。
65歳で完済する形でローンを組んでいたり、退職金で返済したりしているケースが出てきます。支出の増加要因と減少要因、両方に目配りしてプランを立てていきたいものです。
マイカーを早めに手放せば、車関係のガソリンや任意保険、定期的な車検に関する費用も抑える事ができるようになります。
リタイア後の「お金」の収入の基本となるのは「老齢年金」となります。具体的にどれくらいの額になりそうかは毎年郵送される「ねんきん定期便」やウェブサイトの「ねんきんネット」で確認できます。ねんきん定期便に関しては35歳と45歳、59歳のタイミングで通常より詳細な内容が届きます。こうした節目をリタイア後のライフプランを考える機会にする手もありそうです。
収支のバランスを把握するため、シミュレーションをしてみるのも有効です。日本ファイナンシャル・プランナーズ協会のサイトにある「家計のキャッシュフロー表」などをダウンロードし、お金の出入りを記入してみる事をお勧めします。
https://www.jafp.or.jp/know/fp/sheet/
資金不足になりそうなら、資産運用といった手段もありますが、リスクもある為、現役のうちからリタイア後をイメージして備えておく必要がありそうです。
法人営業部 犬木 裕